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大東文化大学 2009年度 担当授業

school 大東文化大学

2009年度は所属している外国語学部に加え、文学部にも出講することになりました。
講義内容の詳細は電子シラバスでご確認下さい。

時間
月曜日
木曜日
13:15~14:45 言語学特殊講義2
[外国語学部・通年・板橋・3~4年生]
日本語学概説
[文学部・通年・東松山・1年生]
15:00~16:30 日本語学概論
[外国語学部・通年・板橋・3~4年生]
日本語学講読1/日本語学講読演習
[文学部・通年・東松山・2年生]

担当授業のすべてに共通したスタンスは、言語の観察・記述です。
日本語はどうあるべきかというような規範を求めるのではなく、言語を観察することに
より、言語に潜んでいる規則や言語使用の実態に迫るようにします。

基本的な図書として次のものを推薦します。

榎本 正嗣 (編著) 『ことばを調べる』 玉川大学出版部 2003年
ISBN-10: 4472402939

特に松本博文先生が執筆された第4章「正しい「間違った」文」が重要となります。


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古代エジプト語研究[0-2]研究法(その3):John Bryan Callender (1975) Middle Egyptian. Malibu.

John Bryan Callender (1975) Middle Egyptian. Malibu.

本書はJohn Bryan Callender (1940-87) による著作の1冊。彼の著作と
しては Studies in the Nominal Sentence in Egyptian and Coptic. 1984.
の方が有名だが、彼が35歳のときに出版した本書をここで取り上げたい。

本書の内容を一言でいえば、一般言語学からみたエジプト語の記述、
つまり言語学的エジプト語研究の実践書となる。

一部においてエジプト学的な用語が用いられている箇所があるものの
本書の中心部分では言語学の概念や用語が貫かれている。

それを端的にあらわしているのが、次のような本書の構成であろう。

0. Background on Egyptian [pp.1-3]
1. Present Grammar: Introduction [pp.4-6]
2. Phonology [pp.7-13]
3. Morphology and Morphophonology [pp.14-60]
4. Syntax [pp.61-114]
5. Sample Text [pp.115-122]
6. Appendices [pp.123-135]
7. Index [pp.136-139]
8. Bibliography [pp.140-143]

筆者自身、「エジプト学に慣れている読者は間違いなく、本書の構成に対して
標準的な文法書とは異なると感じることであろう」と断っている。

エジプト語の記述の中心は、2. Phonology, 3. Morphology and Morphophonology,
4. Syntax であり、その記述内容の実践が 5. Sample Text で示されている。
また、構文を中心にまとめた 6.3 Table of Predicate Constructions の内容
も実にすばらしい。

1. Present Grammar において、筆者は対象とする読者を表明している。
その1つは「言語学の手法や用語に慣れている一般言語者」であり、
もう1つは「エジプト学者」である。しかし、ある学説を巡っては、「エジプト学に慣れた
読者は困難を覚えるかもしれない」と述べられており、本書の態度は、ある意味で
当時のエジプト学者に冷たい。それは、本書が脱エジプト学的エジプト語研究を
志向しているからである(より正確に言えば、当時はGardiner文法からの脱却)。

このようにしてまで脱エジプト学的エジプト語研究を志向するのは、
「本文法書の目的の1つはエジプト語に対する我々の理解を提示することにあり、
そのためには、多くの場合において、伝統的な範疇を放棄しなければならない」
からである。

エジプト学の伝統に拘ることが重要なのではなく、言語の理解こそが重要である。
この明確な態度の表明に敬服する。

中エジプト語文法といえば Gardiner の Egyptian Grammar が圧倒的な影響力を
持っていた当時において、Polotsky の学説をいち早く取り入れ、かつ言語学的な
視点で中エジプト語を記述した本書の学史上の意義は、実に大きい。

Callnder が若くしてこの世を去ってしまったのは学界にとって大きな損失であった。

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古代エジプト語研究[0-2]研究法(その2):エジプト学的エジプト語研究から言語学的エジプト語研究へ

エジプト学の中でエジプト語を扱った研究の例は多い。文法書、辞書、*資料集の類は、
ほとんどがエジプト学の中で作られた。これら、エジプト学的エジプト語研究の中には
優れた研究が少なからず存在しており、研究の蓄積量は個人が追うには膨大になって
いる。

*資料集:歴史学の立場では史料集となるところだが、ここは言語学の立場から資料集
としておく。

しかし、そのような膨大な研究例があるとは言っても、エジプト学的エジプト語研究では、
言語学的な視点に基づく研究の例が実に少ない。

ここで、言語を扱った研究がそのまま言語学の研究になるわけではない、という点に
留意して頂きたい。

19世紀末から20世紀初頭においては「一般言語学」、そして20世紀末から21世紀初頭
の現在においては「言語類型論」を中心として、言語学は通言語的な用語や概念を整備
させてきた。そのような通言語的な視点が導入されたエジプト語研究を、言語学的エジプト
語研究と呼びたいと思う。

両者のエジプト語研究において障害となることは、言語学用語の定義が異なることである。

エジプト学的エジプト語研究でも、表面的には言語学用語が使用されている。それらを
見て、エジプト語以外の言語を研究している言語学者は、言語学用語として判断するで
あろう。しかし、エジプト学で使用されている言語学用語はエジプト学独自の定義の
もとで使用されていることがあり、他の言語学者が理解できない内容になってしまっている。
つまり、エジプト学で使用されている用語の中には、表面的には言語学用語と同じであるが、
その実体がjargonとなっているものがある。

その最たるものがsuffix conjugationである。この用語の使い方はあまりにも独特であり、
近隣のセム語研究者と対話が成り立たないほど、定義が異なっている。

また、strong verb/weak verb, prospective, transliteration/transcriptionについても
注意が必要である。

いや、そもそも、Egyptian, Demotic, Copticという用語の鼎立から整備し直さなければ
ならないであろう。

このような現状において、言語学で一般的に使用されている用語を使用すればそれで
よいのだが、それだとエジプト学的エジプト語研究を実践しているエジプト語研究者に
理解されないという困った状況がある。

とはいうものの、言語学者に通用しないエジプト学的な似非用語など、もはや排除すべ
きではないだろうか。言語学を実践するのであれば、言語学の用語を使用すればよい。

たかが用語かもしれないが、それらは専門用語である。定義が異なれば見えてくる姿も
異なってくるはずだ。

エジプト学という集会の中でエジプト語の議論をすることから脱して、言語学の世界で
エジプト語を研究する人が増えれば、エジプト語研究の質は更に高まるであろう。

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古代エジプト語研究[0-2]研究法(その1):エジプト学という学問が存在していないということ

このタイトルを見たほとんどの人が、このタイトルに賛同しないであろう。

でも、私自身、エジプト学という学問など存在していないと本気で考えている。

私の考えでは、大学に学科が存在しているということと、その学科の名称が
そのまま学問として成立しているということとは、同じではない。
「エジプト学科が存在しているからエジプト学という学問があるはずだ」とは、
私自身、これっぽっちも考えていない。

エジプト学に関わるこの議論を、オリンピックに喩えるならば、
エジプト学は学問なのかという問いは、オリンピックは競技名なのかという問いと
同じレヴェルにあるものだと私は考えている。

オリンピックは様々な競技を総括する祭典の名称であり、競技名ではない。
同様に、エジプト学は様々な学問を総括するための集会の名であり、
これ自体は学問名ではない。

古代エジプトに関する歴史学、考古学、言語学、宗教学、美術史学、建築学、
などなど、様々な学問がエジプト学の名の下に集結しているのであって、決して
エジプト学が独立した学問として存在しているのではない。

とはいうものの、諸学問を総括するインターディシプナリーな学問として、
あるいは最近ではあまり聞かなくなった地域研究としてエジプト学を捉える
のであれば、それはそれで学問になるかもしれない。

しかし、地域研究としてのエジプト学を、その方法論と共に提示している研究など、
ほとんど存在していないのが実情である。一見するとインターディシプナリーなものに
見える研究でも、所詮は諸学問の成果を寄せ集めて1冊の本にしただけであり、
手間が掛かっていても、それでは単なる商品見本と同じ代物である。

ところで、オリンピックにおいては、そこに精神があったとしても、競技としてのルール
をたてることができない。

同様にエジプト学においても、エジプト学的な精神はあるかもしれないが、
エジプト「学」としての学問方法を打ちたてることができていない。

なので、エジプト語という言語を研究するのであれば、「エジプト学的に」などという
思考を取り入れる必要はなく、言語学の1つとして研究を実践すればよいことになる。

このように書いても、「いや、エジプト学は存在しているでしょう」と言う人が
いるかと思うが、その人は、どれほど総合的な学問をしているのであろうか?

考古学を軸にしながら、考古学の事例に合致する内容の文献資料を紹介して、
「考古学的に明らかになったこの事柄は、文献資料からも裏付けることができる」
などと言っているのでは、総合学ではないはずだ。文献資料に書かれていること
がすべて正しいのであれば、文献資料から復元することのできる古代エジプトの
イメージは、もっとゆがんだものになるに違いない。

「エジプト学的に」などという足かせ、あるいはエジプト学に付随する「精神」を
取っ払ってしまえば、資料はもっとも明瞭な姿を見せてくれるように思われる。

エジプト学という集会所の運営など頭の片隅において、学問としての方法や
枠組みには、考古学、歴史学、言語学、宗教学、建築学などそれぞれの学問で
使用されているものを基本路線として採用すればよいことになる。

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晴れていますが、部屋にこもって論文を書いています・・・

良い天気ですね。

散歩にもってこいの陽気ですが、私はコーヒーを飲みながら
論文の執筆に勤しんでいます。

4月になると授業が始まるので、3月の間に自分の研究を
なんとか進めておきたいところです。

珈琲工房須田で注文をしたボリビアとモカ・シダモが届き、
この数日はこれらを交互に堪能しています。

自分の普段の入れ方で素直においしいと思ったのは
モカ・シダモの方でした。ボリビアの方は濃い目に入れると
自分好みの味になります。濃くしても嫌な苦味にならない
ところが良いです。

それにしても、良い天気だ・・・

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Zahi Hawass and Sandro Vannini (2006) The Royal Tombs of Egypt: The Art of Thebes Revealed.


王家の谷(と王妃の谷のネフェルタリ墓)の壁画について紹介した本。全ページがカラー
印刷で、写真が実に美しい。解説文が付いているのですが、写真の分量が多く、かつ
写真が大きくて美しいので、本文が付いていることをしばし忘れてしまいます。

王家の墓の概要、王家の墓の建設、王と神々の表象などに関する章が続いたのち、
アムドゥアトの書、門の書など、文書の種類ごとに壁画の情報が整理されています。

1つの壁画が折込を含めた見開きで掲載されていることがあり、かなり大きな写真を
堪能することができます。300ページを超えるカラー本がこの値段で販売されているのは、
驚きです。コストパフォーマンスの高い1冊。

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Gunn, B. (1924) Studies in Egyptian Syntax.

知り合いの研究者からの情報で知りましたが、ABZUに次の文献がupされました。

pc Gunn, B. (1924) Studies in Egyptian Syntax.

この研究はエジプト語言語学の最重要文献の1つなのですが、発行部数が
少なかったのか、古書でも出回らない稀少本でした。

本書に対して「エジプト語の統語論の研究」などとコメントされることがありますが、
それはタイトルをなぞっているだけで、本書の中身を上手く指摘したものでは
ありません。

言語学で統語論と呼ぶ場合には、統語構造を指す場合だけではなく、文法範疇
や構文の意味論のような領域も含まれることがあります。本書の統語論は後者の
意味で使用されています。

本書の内容は3部からなります。そのうち重要なのは、動詞の文法範疇としての
prospective formを扱った第1部、そして否定文や否定辞に対する検討を行なった
第3部でしょう(これだと本書のほとんどすべてが重要箇所になってしまう・・・)。

prospective relative formを認めるか否かという議論が存在している現状において、
Gunnが提示したprospectiveの概念の再検討が求められています。

本書の出版から80年以上が経っていますが、その存在価値は、色あせるどころか
ますます高まっているようにも思います。

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日本言語学会第138回大会

clip 日本言語学会第138回大会

    * 日時:2009年6月20日(土)~21日(日)
    * 場所:神田外語大学(千葉県千葉市)

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北軽井沢 珈琲工房須田 [食い改めよ!救世主・飯屋(メシヤ):File No.6]

食い改めよ!救世主・飯屋(メシヤ): File No.6

北軽井沢 珈琲工房須田


須田さんのところのコーヒーはコクがあるのに、後味がスッキリしているように思います。
なので、特にブラックで飲むと、おいしさがわかります。

定番の銘柄に加え、時折、貴重な豆が入荷されます。
最近入荷された「ボリビア/ジャナロマ」は日本に入ってきた12袋のなかの1袋を譲り受けた
ものだとか…。早速、頼んでみました。届くのが楽しみです。

現在はセール期間中で、割引価格で購入できます。

軽井沢に行かれる方は、是非ともお店に立ち寄ってみて下さい。静かな軽井沢の中でも
ひときわ静かな場所にあります。木製のテラスで忠犬たちと戯れながら頂くコーヒーは格別です!

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Egypt Pocket Guide. By Alberto Siliotti.

50ページほどのガイドブック。全ページカラー印刷で写真や図版が多い。
地域やテーマごとに分冊となっているので、必要な部分だけ揃えれば荷物にならない。
1冊の単価が安いのでついつい買ってしまうが、全巻揃えるとそれなりの金額になる。

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公開シンポジウム「四国八十八ヵ所 遍路道から世界へ」

new 公開シンポジウム「四国八十八ヵ所 遍路道から世界へ」

松平定知(早稲田大学大学院公共経営研究科客員教授、元NHKアナウンサー) 先生
の講演やパネルディスカッションなどがあります。

場所:早稲田大学 小野記念講堂
日程:2009年4月25日(土)
*事前予約必要

松平さんはNHKを定年退職されていたのですね。「その時歴史が動いた」は好きな番組でした。
あの語り口でどのようなことを話されるのか。実に楽しみな講演です。

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Egyptologists' Electronic Forum (=EEF)

pc Egyptologists' Electronic Forum (=EEF)
エジプト語に関心のある人にとって、AELと共に、EEFはすこぶる有名。
特に、「Archives, FAQs & Links」にある以下のファイルは学習のための最強ツールです。

EEF FAQs
 ・Literature Lists & Databases
 ・Glyphs and Grammars, Part I
 ・Glyphs and Grammars, Part II

EEF Surveys of Digitalised Resources
 ・Online AE Text Resources
 ・Online CG Volumes
 ・E-journals and Digitized Journals
 ・Online Urk Volumes

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Ancient Egyptian Language(=AEL) Discussion List

pc Ancient Egyptian Language(=AEL) Discussion List
今更ここで紹介するまでもなく、中エジプト語を勉強している多くの人に
知られているサイトです。TextsとLearningが特に有用だと思います。

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東京言語研究所 2009年度春期特別講座

pencil 東京言語研究所 2009年度春期特別講座

2009年4月18日(土曜日)~19日(日曜日)

日本を代表する一流の研究者の講義を受けることができます。

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まぐまぐ エジプト通信

info01 エジプト通信

エジプトの個人旅行を専門とする旅行会社airplane ナイルストーリーが発行しているメールマガジンです。

旅行の情報はもちろんのこと、現地の様子、遺跡や歴史の紹介、日本における
エジプト関係のイベント・講座・展覧会など、エジプトに関する情報がてんこ盛りです。

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Sterling, Gregory E. (2008) Coptic Paradigms: A Summary of Sahidic Coptic Morphology.

book Sterling, Gregory E. (2008)
Coptic Paradigms: A Summary of Sahidic Coptic Morphology.
Peeters.

 clipAmazon clipTable of Contents

コプト・エジプト語の勉強を始めてすぐにわかることは、文法的な形態変化が
少ないということである。特にギリシャ語やラテン語などの屈折語を扱っている人
にとって、コプト・エジプト語の語形変化は、無いに等しいものだと思われる。

なので、コプト・エジプト語の場合、数少ない文法的な形態素(morphem)と基本語彙
そして基本文型を覚えれば、楽に読めるようになる。

まさにそのような状況を見据えたうえで、本書は、語彙、基礎的な形態論(Morphology)、
文型を95ページにまとめたものである。

あるいは、本書の内容を別の見方から捉えると、試験前の暗記ペーパーとして覚えるべき
内容をまとめたもの、と言い換えることができる。

この点については著者自身が充分に心得ており、本書が文法書でないことを導入で
明言し、別の文法書を紹介しているほどである。ということで、本書はコプト・エジプト語の
基礎文法を学習している学生が、知識の整理に使うには便利な1冊かもしれない。

とはいうものの、次の3点において、本書の利用には注意が必要である。

(1)文型に対する訳が掲載されていない
もっとも、文型といっても「1st perfect=afswTm」というような内容であり、そもそも
これが理解できないようでは、本書を読むための基礎レヴェルに到達していない
ということになる。したがって、文型の訳がないということは、それほど本質的な問題
ではない。

(2)解説の重複が多い。
重複そのものは別に問題ではないが、要点整理を主眼とする本書でダラダラと重複
箇所が続くのは、要点の提示方法が熟考されていないとの印象を受ける。
特に、Part Four: The Verbal Systemで重複箇所が多い。たとえば、Verbal Patterns
and Conjugations p.52 ~ The Conversion System p.68 までの内容が、これに続く
Full Paradigms pp.69-95 で繰り返されている。提示の仕方が異なるものの、
内容はほぼ同じであり、どちらか1つがあれば、それで良いように思う。あるいは
Verbal Patterns and Conjugations を3人称男性単数形の代名詞or名詞を利用した
簡便な雛形で提示すれば、すっきりとするであろう。とはいうものの、重複の多さは、
サービス精神の裏返しとして、許容される。

(3)Polotsky体系の把握が不十分である
2008年の著作であり、しかもCopticに関する研究書を何冊も出版しているPeetersから
出版された本だけに期待していたが、実のところPolotsky体系の把握が不十分である
ので、正直、驚いた。

たとえばnefswTmの理解は、Polotsky体系の前後で次のようになっている。

nefswTmに対する理解
Polotsky以前 imperfect
Polotsky以後 preterit first present

imperfectは未完了であるが、preteritの方は過去である。
完了が過去に訂正されるのは理解できるが、未完了が過去になるのは、用語の上で
大きな変更だと言える。

ここで明言しておくが、コプト・エジプト語の研究において、imperfectとpreterit first presentは、
同じ文型に対する異なる名称である。

しかし本書では、preterit first present(=imperfect)の変化表をp.81で掲載する一方で
続くp.82でimperfect(=preterit first present)の変化表を掲載している。

preterit first present(=imperfect)という立場を表明したのであれば、
imperfect(=preterit first present)を掲載する必要はないのであり、このような重複は、
両者が同じものを指しているということを著者が理解していないのではないか、
との疑念を抱かせる。いや、そもそもimperectというghost formを採用している時点で
かなり古めかしい。

本書が1980年代に出版された本であればまだ理解できるが、2008年になって出版された
著作でこの程度の水準では、Copticの著作としてはかなり厳しい。ということで、
(3)はかなり大きなマイナス要因である。

本書の内容程度であれば、

book Shisha-Halevy, Ariel (1988)
Coptic Grammatical Chrestomathy.
Orientalia Lovaniensia Analecta 30.
Peeters.

clipAmazon

のTables pp.167-201 の方がよほど良く、Shisha-HalevyのTablesは上記の3つの問題点
をすべてクリアした内容になっている。

ということで、かなり辛口だが、Coptic ParadigmsはPolotsky以前の著作だと言わざる得ない。

学問の世界は知識を探求する場であるはずだが、実のところ学者も人の子であり、
たとえ新説が正しいとわかっていても、自分が教わった古い体系から抜け出すことが
出来ないことがある。

言い換えれば、学問以前に存在している様々な要因に縛られた状態で学説が作られるという現状がある。

だとすれば、我々は、学問以前に存在している様々な要因を把握しない限り、研究書の
有意義な「読解」が出来ないのではないか。

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コプト語への招待 -古代の言語の謎に迫る-

朝日カルチャーセンター横浜校でコプト・エジプト語に関する講座が開講されます。

講師の戸田先生は日本人で最も多くコプト・エジプト語の文書を読み解かれている方の1人です。
コプト・エジプト語ばかりか、ギリシャ語、シリア語、エチオピア語などの古典語、
アラビア語、オランダ語、フランス語、ドイツ語などの現代語にも精通されております。

aquarius 戸田聡先生のHP

aquarius 朝日カルチャーセンター横浜校のHP

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コプト語への招待-古代の言語の謎に迫る-
一橋大学講師 戸田 聡

水 11:45-13:15 全3回(4/22, 5/13, 5/27)

講座内容
コプト語は、いわゆるヒエログリフで知られる古代エジプト語の数千年の歴史の最終段階
に位置し、ヒエログリフの解読のためにかの有名なシャンポリオンが学んだことでも知られ
る言語ですが、その成立と死滅をめぐってはまだまだ多くの謎があります。またそもそも、
コプト語を知って何の役に立つのかという、極めて実際的かつもっともな疑問もあるでしょう。
様々な角度からこのコプト語という言葉にアプローチしてみたいと考えています。

《カリキュラム》
第1回 コプト語とは?
第2回 コプト語を知って何の役に立つか? 
第3回 言語はどのように死滅するか? -コプト語の場合-

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The Giza Archives

pc The Giza Archives

ギザ周辺の遺跡や古王国時代のエジプトを研究している方には有名なサイトなのだと思いますが、コンテンツを見て驚きました。特に Library に掲載されている論文や著作に度肝を抜かれた感じです。

Giza Mastabas シリーズの7巻の本のPDFファイルが無料でダウンロードできます。

150ドルほどの価格で売られている

 Manuelian, Peter Der (2003)
 Slab Stelae of the Giza Necropolis.
 Publications of the Pennsylvania–Yale Expedition to Egypt, Number 7.
 New Haven and Philadelphia: Peabody Museum of Natural History of Yale University  
 and the University of Pennsylvania Museum of Archaeology and Anthropology.

なんかも、丸ごとPDFで公開されています。

また

 Fischer, Henry G. (1996)
 Varia Nova. Egyptian Studies III.
 New York: The Metropolitan Museum of Art.

も、惜しげもなく公開されています。

更に日本人の書いた論文としては

 Shirai, Yayoi (2006)
 “Ideal and reality in Old Kingdom private funerary cults.”
 In: The Old Kingdom Art and Archaeology.
 Proceedings of the Conference held in Prague, May 31–June 4, 2004, pp. 325–333.   
 Edited by Miroslav Bárta. Prague: Czech Institute of Egyptology.

がダウンロード可能です。

Reisneの研究から始まって最近の研究まで、著作権はどうなっているのかと心配してしまうほど、各研究のPDFファイルが網羅的に公開されています。しかも、HPの体裁は整然としています。

で、誰がこのような根気の要る仕事をしているのかと言えば、その指揮官は Peter Der Manuelian でした。彼の著作の内容を考えると、このHPの丁寧さに納得の行くところです。

個人的なことを言えば、

 Edel, E. (1955/64) Altagyptische Grammatik. Analect Orientalia 34/39. Roma.

が公開されると、さらに喜ばれるかと思います。

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ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち

aquarius ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち

2009年3月25日(水)―6月1日(月)

国立新美術館(1階企画展示室1E)
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

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GlyphStudy

pc GlyphStudy

James Allen Study Groupに関連したサイトでしょうか?
Resourcesに貼られたリンクが有用です。

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Chris's Egyptology Resources

pc Chris's Egyptology Resources

サイトのタイトルにはEgyptologyが含まれていますが、主に文字資料に関する情報を集めたサイトです。
助かることに、有名な「Beinlich Wordlist」の英訳ファイルがあります。
その他、Beckerathの王名本に掲載されている王名を文字コードで示したファイルも紹介されています。

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Egyptian Hieroglyph Portal

pc Egyptian Hieroglyph Portal

古代エジプト語に関する様々なサイトが紹介されています。
Mark Vygus氏の最新の辞書も紹介されています。

***追記***
Mark Vygus氏の辞書の特長について、西本先生のブログで取り上げられました。

 西本真一エジ本 〜サイバー大学内SNSからの抜粋〜

西本先生が見事に看破されておられるように、この辞書の肝は文字コード配列にあります。
ということは、この辞書では文字コードから単語の検索をすることが可能なわけです。
従来では子音転写がわからなければ辞書が引けなかったのですが、文字コードを
併記することで、辞書の便利さが各段にアップしたといえます。

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古代エジプト語研究[2-7]コプト・エジプト語

*動詞述語文の体系は、ポロツキー以前と以降でまったく異なる。中エジプト語ではポロツキーの研究に否定的な研究者が多いが、コプト・エジプト語ではポロツキーが提示した体系が受け入れられている。こだわりがないのでれば、ポロツキー以降の文法書をおススメする。

[文法書(ポロツキー以前)]

book Lambdin, T.O. (1983) Introducion to Sahidic Coptic. Mercer University Press.
Lambdin 博士によるコプト・エジプト語の文法書。Lambdin博士の名前にはセム語の語根 lmd (「学ぶこと」に関する語義を持つ語根) が含まれているとの冗談が言われるほど、セム語学における博士の貢献は大きい。解説は実に分かりやすく、Glossaryも充実している。ポロツキー体系の導入が不十分であるところがなんとも残念だが、良書であり、手元にあると便利な一冊。
 clip Amazon.co.jp

[文法書(ポロツキー以降)]

book Layton, Bentley (2007) Coptic in 20 Lessons: Introduction to Sahidic Coptic With Exercises & Vocabularies.
次のLayton (2004)を簡便にしたもの。適宜、Layton (2004)の参照箇所が示されている。簡便ではあるが、本書にはLaytonの生真面目な性格がよくあらわれている。構文解説はとても良いが、単語や音節の読み方(発音)に関する解説がもう少し分かりやすく書いてあると助かるところだ。

book Layton, Bentley (2004) A Coptic Grammar: Sahidic Dialect, With Chrestomathy and Glossary. 2nd.
サヒーディック方言を本格的に学習したいのであれば、本書は必読です。

[辞書]

book Smith, Richard (1999) A Concise Coptic-English Lexicon. 2nd.
辞書というよりは単語集。全59ページ。語根配列なので、初心者には引き難いかもしれない。

book Azevedo, Joaquim (2001) A Simplified Coptic Dictionary (Sahidic Dialect). Brazil.
母音を含めた表記配列なので、初心者にも引き易い。全186ページ。Crumの辞書の掲載頁が併記されているので、発展学習が可能。辞書本体の前に、機能形態素・機能語、人名、地名、ギリシャ語由来の語彙が添付されている。最初に1冊買うとしたら、これがおススメ。とはいうものの、Lambdinの文法書のGlossaryよりも、何割か多い程度の語彙数だと思う。

book Crum, Walter E. (2005) A Coptic Dictionary. Ancient Language Resources.
コプト・エジプト語の辞書の金字塔。語根配列、全方言を扱った詳細な用例、ぎっしり詰まったレイアウトであるために、使いこなすには慣れが必要。上級者向け。
 clip Metalogosで全てのページが掲載されています。

[その他]
pc Lance's Coptic Language Resources

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danger この記事は未だ執筆中であり、今後少しずつ情報を追加して行きます。
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