図書を分類する際には幾つかの分類基準がある。
日本では次の2種類が有名である。
国立国会図書館分類表 (wikipedia)
日本十進分類法 (wikipedia)
この2種類のうち、学校の図書館では日本十進分類法を採用しているところが多い。
その日本十進分類法は第1に次のような10種類の「類」で図書を分類する。
0類(000~) 総記
1類(100~) 哲学
2類(200~) 歴史
3類(300~) 社会科学
4類(400~) 自然科学
5類(500~) 技術・工学・工業
6類(600~) 産業
7類(700~) 芸術
8類(800~) 言語
9類(900~) 文学
哲学という文化系学問に始まり文学というこれまた文化系の学問で
終わるという配列がどのように生じたのかは不明であるが、
私の専門とする言語学は8類つまり800番台に属している。
この10種類の「類」の内部で、それぞれ10種類の「綱」に区分されることになり
800番台には次のような「綱」が設定されている。
800 言語
810 日本語
820 中国語
830 英語
840 ドイツ語
850 フランス語
860 スペイン語
870 イタリア語
880 ロシア語
890 その他の諸言語
言語全般や言語学の図書を収めた800番台から始まり、日本語、中国語、
英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語という
わずか8種類の現代語で880番台までが占有され、その他の諸言語は
まさに「その他」という扱いのもと、890番台の「綱」に回されている。
世界には話者を持つ言語が約7000種類も存在しているといわれるが、
日本十進分類法によれば、一見すると先の8言語以外のほとんどの言語が
890番台に集結せざるを得なくなる。
「これでは不平等であり、890番台の棚がパンクするのではないか」と
疑問に思う方は、是非とも図書館で棚の量を確認して頂きたい。
図書館に行ってみるとパンク寸前の棚は日本語、中国語、英語などの主要な
言語の棚くらいなもので、890番台の棚については、その存在に気付かずに
通り過ぎてしまうことがあるほど、図書の量が少ない。日本において890番台
の言語は所詮は「その他」の存在でしかないのだということを思い知らされる。
さて、この890番台の「綱」であるが、この内部で更に「目」に区分される。
891 ギリシア語
892 ラテン語
893 その他のヨーロッパの諸言語
894 アフリカの諸言語
895 アメリカの諸言語
897 オーストラリアの諸言語
899 国際語(人工語)
ギリシア語やラテン語など西洋古典の王道も「その他の諸言語」という「綱」に
エントリーされている現状に少々驚くとともに、私のように894番台という成れの果てに
分類される言語を専門としている人間にとって、890番台の棚でギリシャ語を見かけた
ときは、砂漠のど真ん中で友人に出会ったときのような安堵感を覚えるものでもある。
以上、言語を切り口に日本十進分類法の一端を垣間見たが、この分類法の目指す
ところが日本で図書を配架するための効果的なシステムにあることを痛感する次第である。
それにしても、すべての対象を10種類ずつ区分する日本十進分類法の徹底振りに
五行説のような「哲学」を感じる。